妊娠後期の便秘解消|大きくなったお腹で症状は悪化しやすい
妊娠をするとそれまで快便だった人が便秘になってしまったり、便秘が悪化してしまうことが多いです。妊婦さんの7−8割が便秘に苦しんでいると言われます。
原因として考えられるのが、女性ホルモンの変化、大きくなったお腹、食生活の変化です。さらに、貧血予防のために鉄剤を飲むと、その副作用で便秘になってしまうこともあります。
妊娠後期で便秘になってしまう原因
原因1.女性ホルモンの影響
妊娠をすると女性ホルモンの1つ黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増えます。このホルモンの分泌量は、生理中に増加し、妊娠中はさらに増加します。
黄体ホルモンは、子宮筋の収縮を抑えて妊娠を維持させる重要な働きをします。しかし、同時に内臓の筋肉の緊張を抑えてしまうため、大腸の動きが鈍くなってしまいます。
さらに、体内に水分を蓄えさせる働きもあるため、便に含まれる水分まで体内に吸収してしまい便が硬くなってしまいます。このように黄体ホルモンの影響によってお通じが悪くなってしまいます。
原因2.大きくなったお腹
妊娠後期になるとお腹の赤ちゃんは大きくなり、お腹は大きくなります。すると、大腸が圧迫されてしまい、大腸のぜん動運動が抑えられてしまいます。この動きが抑えられると、便が肛門まで送られるのに時間がかかるため、便はどんどん硬くなってしまいます。
また、お腹が大きくなると動くのが大変になるので、運動不足になってしまいます。運動が少ないと、排便に必要なお腹周りの筋肉が低下してしまいます。
原因3.鉄剤の副作用
妊娠をすると胎児に優先的に鉄分が送られます。すると、妊婦さんの血液内に含まれる鉄分が不足してしまい、貧血になってしまいます。貧血になるとめまいや動機、頭痛が起きてしまったり、胎児の発育不足になってしまう危険があります。
そこで、血液検査で鉄分不足が発覚すると鉄剤が処方されます。鉄剤を飲むことで貧血は改善できますが、副作用で便が硬くなってしまいます。硬くなった便は、排便が難しく、肛門を傷つけて痔を引き起こしてしまうことがあります。
原因4.疲労とストレス
*妊娠中は、体力的にも精神的にも疲れやすく、ストレスが溜まりやすいです。すると、大腸の動きをコントロールしている自律神経が影響を受けてしまいます。すると、大腸の動きも乱れてしまうため、便秘になってしまうことがあります。*
妊娠後期に出来る便秘解消法
大腸の入り口付近の便は水が多いびちゃびちゃな状態です。大腸の中を通る間に水分が吸収されて、便の形になって排泄されます。しかし、体内の水分が不足しているときには、便から吸収する水分が多くなるため便が硬くなってしまいます。
なので水分補給をしっかりして、体内の水分が不足しないようにする必要があります。特に、妊娠中は汗をかきやすい、羊水のために水を使う、お腹の赤ちゃんに水分が送られるなど水分不足になりがちです。
1日に2リットルを目安に水分補給をして下さい。むくみが気になるかもしれませんが、2リットル程度であればおしっこや汗などで排泄されるので安心してください。逆に水分が不足していると、脱水症状になったり、老廃物の排泄が上手くいかずに体内に溜まってしまい体に悪いです。
水分補給は、カフェインが含まれていない水や麦茶など行ってください。カフェインは胎児に悪影響を及ぼすだけでなく、利尿作用があるので水分がすぐにおしっこで排泄されてしまいます。
また、こまめに少量ずつ飲んでください。一度に大量に水を飲むと、すぐにおしっこで排泄されてしまいます。コップ一杯の水を朝起きたとき、三食と一緒に、入浴前後などにこまめに飲んでください。
特に、起きてすぐにコップ一杯の冷たい水を飲むのは便秘解消に効果があります。空っぽの胃腸に冷たい水が入ることで、刺激されて動きが活発になり、排便が促されます。ただ、冷たい水を飲み続けると体を冷やしてしまうので、朝の一杯だけにしましょう。
食物繊維は、便秘解消には欠かせない栄養素です。その食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。効果が異なるので2種類の食物繊維をバランスよく食べてください。
不溶性食物繊維
キャベツなどの野菜やゴボウなどの根菜類、豆類、ライ麦などの穀物に多く含まれています。水には溶けないのですが水分を含むと何倍にも膨らむので、便のカサを増やすことが出来ます。便のカサが増えると、大腸が刺激され便意が起こり、大腸の動きが活発になります。
水溶性食物繊維
ワカメやひじきなどの海藻類や熟したリンゴなどの果物、里芋などに多く含まれています。水に溶けてゼリー状になるので便を柔らかさを保ってくれます。また、糖類の吸収を穏やかにして血糖値の急上昇を防ぐので、体重管理が必要な妊婦さんにお勧めです。
大腸の中には数百種類の腸内細菌がいます。この中には、大腸の動きを活発にする善玉菌と動きを鈍くする悪玉菌が住んでいます。つまり、善玉菌を増やすことが出来れば大腸は活発に動くので、お通じがスムーズになります。
善玉菌を含む食べ物を食べると、大腸に善玉菌を送ることが出来ます。ヨーグルトなどの乳製品や漬物などの発酵食品には善玉菌の1つ乳酸菌が多く含まれています。
特に漬物などの発酵食品に含まれる乳酸菌は、植物性乳酸菌と言われ生命力が強いので効果が高いと言われています。通常の乳酸菌は胃を通るときに胃酸でほとんどが死滅してしまいますが、植物性乳酸菌は生きたまま大腸に届くためです。
大腸内の善玉菌と悪玉菌は常に争っていて、一方の勢力が強まれば、もう一方の勢力は弱まります。つまり、善玉菌を元気にすることが出来れば、善玉菌の勢力は高まり、悪玉菌はどんどん弱まるため、大腸が活発に動くようになります。
善玉菌を元気にするには、玉ねぎやバナナなどの食べ物、そして母乳にも含まれているオリゴ糖が効果的です。善玉菌はオリゴ糖が大好物なので、オリゴ糖が与えられれば元気になるためです。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんが心配で安静にしていることが多くなると思います。お腹も大きくなるので、軽く体を動かすのも大変ですしね。
しかし、主治医から運動を止められていなければ、適度な運動は積極的に行ってください。運動をすることで、大腸が刺激を受けて活発に動き出したり、筋力の低下も防げます。
また、体を動かすことでストレスが発散されたり、気分転換になります。大腸は体がリラックスしたときに活発に動くので、運動をするとお通じがスムーズになります。
運動と言っても激しいものや飛び跳ねたり、転ぶ危険性があるものは避けてください。近所のスーパーや公園まで散歩するくらいの軽い運動で十分です。ただ、何かあってもすぐに病院に行けるように、母子手帳、診察券、携帯電話、1000円くらいの現金を持っていくと安心です。また、汗をかきやすいのでハンドタオル、飲み物を持っていくと良いと思います。